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  • 2023/01/16
  • 資産運用
  • 住宅ローン

中古住宅で住宅ローン控除は使える?適用条件や確認するポイントとは



家の購入を検討している人にとって、費用を抑えるためのコツをあらかじめ把握しておくことは非常に重要なことです。大きな出費をともなう買い物だからこそ、受けられる補助や控除はすべて利用したいですよね。

しかし、住宅関連の税金ルールは複雑な点も多く、簡単には理解できない可能性があります。この記事では、住宅ローン控除を適用するための条件や注意点、中古住宅と新築住宅を購入する際の違いについて詳しく解説します。



そもそも住宅ローン控除(減税)とは

住宅ローン控除とは、個人が住宅ローンを利用して住居を購入した場合に適用される控除で、支払い額に応じて所得税や住民税から税金が控除されます。

正式名称は『住宅借入金等特別控除』といい、住宅購入者の経済的な負担を緩和すための国による制度で、一定の条件を満たした場合に利用できます。

新築・中古、一戸建て・マンションといった区別はなく、すべての住宅において適用可能となっていますが、住宅ローン控除を受けるためにはそれぞれにいくつかの条件があり、控除額もそれぞれの状況によって異なります。

2022年に税制改正があり、2025年まで延長されることになりました。

それでは、詳しく解説していきます。



2022年の税制改正

2022年に住宅ローン控除に関する税制改正は、これまでの要件から一部変更になっているのでこれから申請を考えている方は注意が必要です。今回の税制改正で変更された主な内容を見ていきましょう。

1.適用期限
住宅ローン控除の適用期限は、2021年までの入居と定められていましたが、2025年までと4年間延長されました。



2.控除率
新築・中古住宅一律で、これまでの1%から0.7%に変更になりました。

控除率が1%から0.7%に引き下げられたのは、日本が置かれている長期的低金利が背景にあり、住宅ローンの金利が非常に低い水準で推移していることとも関係しています。

現状、住宅ローン金利が1%を割るような水準で借り入れをしている方が多く、控除率が金利を上回ってしまい、制度の利用者は払っている利息分より控除の還付金が多くなる現象が起こっていました。
これは、住宅購入費の一部を税金で負担していることとなるため、問題視されていました。

そのため当初の目的であるローン利用時の税負担の緩和になるよう控除率を下げることとなりました。



3.控除期間
住宅によって条件が異なり、新築住宅・買取再販住宅(要件を満たすもの)は最長10年間から最長13年間に引き伸ばされました。



4.所得制限
3,000万円から改正後は2,000万円以下に引き下げられました。
これによって年間所得が2,000万円を超える方は対象外となりました。



5.借入制限額
借入限度額とは、住宅ローン控除の対象となる借入金の限度額のことです。
中古住宅は最大3,000万円、新築住宅・買取再販住宅は最大50,000万円までとなりました。



6.中古住宅の築年数の緩和
1982年1月1日以降に建築された住宅であれば控除が適用されることとなりました。

改正前は、鉄筋造や鉄骨鉄筋コンクリート造などの耐火住宅が築25年、木造などの非耐火住宅が築20年など、さまざまな条件や証明書が必要でしたが、築年数のみが条件となったことにより、中古住宅購入へのバードルが下がりました。



住宅ローン控除が13年に延長する条件

2022年の税制改正により控除期間が10年間から13年間に引き伸ばされましたが、これは新築住宅に対するものです。基本的に中古住宅や増改築の場合は10年間のままなので、中古住宅を購入して住宅ローンを組む場合は注意しましょう。



条件1:2025年までに入居すること
(※省エネ基準を満たさない住居は2023年の入居までになります。)

条件2:新築住宅であること

条件3:買取再販住宅
(※不動産業者が買い取って再販した中古住宅においては、控除期間が「13年」となります。認定されるためには、新築後10年以上経過しているなどの要件を満たしていなければなりません。)


※2024・2025年に入居となる新築住宅でも省エネ基準を満たさないものについては住宅ローン控除の対象外となりますのでご注意ください。



住宅の環境性能等借り入れ限度額控除期間
2022-2023年入居2024-2025年入居
新築住宅
買取再販住宅
長期優良住宅・低炭素住宅5,000万円4,500万円13年間
ZEH水準省エネ住宅4,500万円3,500万円
省エネ基準適合住宅4,000万円3,000万円
その他の住宅3,000万円0円
中古住宅 長期優良住宅
低炭素住宅
3,000万円10年間
ZEH水準省エネ住宅
省エネ基準適合住宅
その他の住宅2,000万円0円

参考:住宅ローン減税(国土交通省)

中古住宅で住宅ローン控除は使える?

中古住宅の購入においても、条件を満たしていれば住宅ローン控除制度は利用できます。住宅ローン控除を受けるためには、入居1年目に確定申告を行う必要があります。また、利用者(債務者)は年収額面3,000万円以下の個人であることが条件で、住宅ローンは10年以上の契約でなければなりません。

上記の条件以外にも、中古住宅においては新築住宅の住宅ローン控除とは条件が異なることもあるので注意が必要です。


中古住宅の住宅ローン控除適用条件

まず、新築・中古にかかわらず、住宅ローン控除を受けるための基本的な適用条件は次の通りです。


·住宅ローン控除を受ける本人が入居すること

·購入した住宅は個人の居住用であること

·住宅取得日(引き渡し日)から6ヶ月以内に居住しはじめること

·適用を受ける各年の12月31日まで引き続いて住んでいること

·床面積が原則50平米以上(合計所得金額が1,000万円以下の場合は40平米以上)

·2025年12月までに入居すること



続いて、中古住宅の住宅ローン控除を受けるための基本的な条件は次の通りです。


·1982年1月1日以降に建築された住宅であること(新耐震基準適合住宅であること)

·1981年以前に建築された住宅の場合は次のずれかの書類を用意し、耐震性を証明すること
耐震基準適合証明書
既存住宅性能評価書(耐震等級1以上)
既存住宅売買瑕疵保険付き証明書(既存住宅瑕疵保険に加入する)

·建築後に使用されている物件であること

·贈与による取得ではない

·住宅購入時から購入後に引き続き生計をともにする親族からの取得ではない


新築住宅と中古住宅|住宅ローン控除額の違い

住宅ローン控除においては、新築住宅で最大400万円(年間40万円×10年)、中古住宅で最大200万円(年間20万円×10年)の控除が受けられます。

しかし、物件を買い取った相手が法人か個人かによって消費税の有無が変わるため、最大控除額は必ずしもこの金額になるとは限りません。



住宅ローン控除を受けるときの必要書類

住宅ローン控除を受けるためには、さまざまな書類の提出が必要になります。手続きの際に慌てることがないよう、住宅購入に関する書類やデータは破棄せずに保管しておきましょう。

必要な書類は次の通りです。不明点は自治体に確認しましょう。



必要書類入手先
確定申告書税務署もしくは国税庁地域の窓口、もしくは国税庁HPで取得。
インターネット上で作成可能。
(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
住宅ローン年末残高証明書(原本)金融機関1月~翌1月に送付される。(金融機関により異なる)
発行依頼が必要な金融機関もあるので注意が必要です。
土地・建物の登記事項証明書(原本)法務局地域の窓口、もしくは登記・供託オンライン申請システムで取得可能です。
土地・建物の不動産売買契約書、工事請負契約書(写し)契約先の不動産会社・建築業者住宅を建築したり購入したりしたときの契約書類。
本人確認書類(写し)市区町村役場マイナンバーカード
または、マイナンバーが記載された住民票+運転免許証やパスポートなど身元確認できるもの。
源泉徴収票【提出不要】勤務先確定申告書を作成するときに使用。
会社員や公務員などの給与所得者の場合、年末調整後に交付される。年内に転職した場合は前職・現職の2枚が必要となる。

昭和57年より前に建築された中古住宅においては、追加で以下の書類が必要です。


必要書類入手先
耐震基準適合証明書売主(不動産会社)引渡日までに発行されている必要がある。
発行に時間がかかるため物件の購入申込時に、不動産会社へ相談を。
また、証明書の日付が2年以内であること。
既存住宅性能評価書(耐震等級1以上)
既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書

住宅ローン控除とリフォーム減税は併用できる?

リフォーム減税は住宅購入時に住宅ローンを受けている場合、リフォーム減税を併用することはできません。中古住宅を購入してリフォームをする予定であれば、場合によっては住宅ローン控除よりもリフォーム減税の方がお得になることがあります。

どちらを利用すれば結果的に控除額が大きくなるか、事前にチェックしておくことが大切です。



住宅ローン控除を使う前に確認すべきポイント

住宅ローン控除は、住宅購入を検討している人にとってメリットの大きい控除であり、条件に合えば必ず利用したいものです。

しかし、住宅ローン控除は適用条件が複雑な上にさまざまなルールがあるため、活用する際は事前に以下のポイントに注意しましょう。



住宅ローン控除期間を確認する

前述のように住宅ローン控除期間は、2022年の税制改正により10年から13年に伸びましたが、しかし、これは新築住宅に対する変更であり、中古住宅の購入においては変わらず10年で設定されています。支払い計画にズレが生じないよう、申請の際は事前に期間を確かめておきましょう。



繰り上げ返済のタイミング

繰り上げ返済を検討している場合、住宅ローン控除に影響しないタイミングを選ぶ必要があります。繰り上げ返済は、一般的に住宅ローン控除期間が終了したタイミングに行います。これは、住宅ローン控除は毎年最大40万円の控除が受けられる制度にもかかわらず、繰り上げ返済してしまうと控除される金額が減ってしまうためです。

しかし、住宅ローンの金利が1%以上の場合、控除期間が終了する前に繰り上げ返済した方が結果的にお得になることもあります。このように、状況によって繰り上げ返済のタイミングが異なるためシミュレーションで最適なタイミングを知る必要があります。



給付金などとの併用

住宅購入時には、「すまい給付金」などの補助金を受けられる可能性があります。これは、住居所得の際に払う消費税負担を減らす目的の給付金で、最大額は50万円です。一般的に、世帯年収が低いほど給付金は高くなります。

このように、住宅ローン控除以外にも住宅購入の際に受けられる補助がいくつかあるので、条件にあうものは申請して活用しましょう。



初回は確定申告が必要

会社員の方は会社が年末調整を行うため普段は個人で確定申告の必要はありませんが、住宅ローン控除を受けるためには、入居1年目の年に確定申告をする必要があります。

確定申告は家を買った翌年の1月から3月15日までに申告しなければなりません。確定申告によって還付されるお金は、1~1ヶ月半後に振り込まれます。

入居2年目以降は年末調整となります。



まとめ

中古住宅の購入でも住宅ローン控除が受けられるため、なるべく費用を抑えたい人は申請方法をチェックして申告漏れがないようにしましょう。しかし、リフォーム減税との併用はできないため、どちらの方が多く控除が受けられるか事前に計算しておくことでよりお得になります。

計算方法などわからないことがある場合は、住宅のプロにアドバイスを受けるのがおすすめです。お気軽に弊社にご相談ください。



このコラムを書いたスタッフ

創業以来、マイホームや収益不動産の売買仲介、賃貸仲介や管理など、お陰様で数多くの幅広い業務を経験させて頂きました。 今では注文住宅の請負や自社物件の建築もさせて頂いており、物件の見方、選び方をお伝えする事には自信があります! お客様には気兼ねなく検討物件の好きなところを見つめて頂けるよう、私たちが進んでデメリットを探し出しお伝えする様に努力しておりますので、良い情報ばかりで溢れたこの情報社会の中で安心できるお住まい探しをサポートいたします!
  • 有村 隆司
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